同じ職業の集団内(業界)や、それに詳しい人たちの間で用いられる、
一般に広く通じない単語や言葉のことを「業界用語」と呼びます。
意識せずとも、実はその業界特有のワードをあなたは使っているかもしれません。
今回は、製造業未経験者、工場勤務のイメージがしづらい、製造業に勤めてみてまだ短いという方向けに、
製造業・工場現場でよく使われる用語を「基本・製造・設備・安全・その他」の5つの視点から基礎的な物を紹介します。
突然その言葉で仕事を振られた時に、どんな内容のことを言われているか、
知っているか知らないかでは初動も変わってきます。
入社したてで用語を理解しているとデキル!と思われ印象も変わるかも
以下、本ブログでは工場で働く人・働く事に興味を持っている人たちへ向けて下記を発信しています。
本ブログでは以下の点が役に立ちます。
具体的な仕事のイメージが掴める
(自分が工場勤務に向いているか判断するのに役立ちます)
職場のリアルな声が聞ける
(求人情報だけでは分からない職場の雰囲気や大変な点なども知ることができます)
安定生活のためのノウハウ
(工場勤務というライフスタイルに合わせた収支管理、休日の過ごし方、健康管理の実践的なアドバイス)
知っておくと有利な予備知識
(事前に知っておくことでスムーズに働き始められる情報)
それでは解説していきます。
工場全般の基本用語
5S(ゴエス)
整理(せいり): いるものといらないものを分けて、いらないものを捨てること。
整頓(せいとん): いるものを使いやすいようにきちんと配置すること。
清掃(せいそう): 職場をきれいに掃除すること。
清潔(せいけつ): 整理・整頓・清掃を維持すること。
躾(しつけ): 決められたことを守る習慣をつけること。
これらは工場運営の基本中の基本です。
安全で効率的な職場を作る上で非常に重要なので、常に意識してください。
KY(ケーワイ)活動 / 危険予知活動(きけんよちかつどう)
作業を始める前に、どんな危険が潜んでいるかを予測し、対策を立てる活動です。
指差し呼称(後述)と合わせて行われることが多いです。
ヒヤリハット
実際に事故には至らなかったものの、「ヒヤリ」としたり「ハッと」したりした出来事。
小さなヒヤリハットの中にも、大きな事故につながる可能性が隠されています。
積極的に報告して、事故防止に役立てましょう。
報連相(ほうれんそう)
報告(ほうこく): 上司や関係者に事実を伝えること。
連絡(れんらく): 関係者に情報を伝えること。
相談(そうだん): 困ったことや疑問点について意見を聞くこと。
これは工場の仕事だけでなく、社会人として非常に大切なことです。
悪い情報程、迅速に!を心掛け、何かあったらすぐに報連相を徹底してください。
QC(キューシー)
品質管理(Quality Control)のこと。
製品の品質を一定に保つための活動全般を指します。
QC活動と称して製造現場主体で中長期的に活動する改善活動を指す場合もあります。
PDCAサイクル(ピーディーシーエーサイクル)
Plan(計画): 目標を設定し、計画を立てる。
Do(実行): 計画を実行する。
Check(評価): 実行結果を評価する。
Act(改善): 評価に基づき改善を行う。
これを繰り返すことで、業務の改善や効率化を図ります。
ポカヨケ
不注意によるミス(ポカ)を避ける(ヨケる)ための仕組み。
例えば、間違った部品が組み付けられないようにする、
正しい手順でしか作業が進まないようにするなど、人為的ミスを防ぐ工夫です。
見える化
職場の状況や作業の進捗、問題点などを誰が見てもわかるように表示すること。
掲示板やモニター、ライン表示など様々な形で行われます。
カイゼン
常に業務や工程をより良くしていくための活動。
日本の製造業で生まれた考え方で、小さな改善を積み重ねていくことを指します。
多能工(たのうこう)
一人で複数の作業や工程をこなせる作業員のこと。
工場の生産性を高める上で非常に重要です。
安全衛生(あんぜんえいせい)
従業員の安全と健康を守るための活動全般。
安全帽や安全靴の着用、危険箇所の表示、定期的な健康診断などが含まれます。
KYT(危険予知訓練)
危険な状況をイラストなどで示し、
グループで話し合って危険箇所やその対策を考える訓練。
生産・製造に関する用語

ワーク(製品)
作業対象となっている仕掛品や部品のことを言います。
主に機械工場で使われ、製品のことを指します。
ライン
製品が製造される一連の工程のこと。
多くの場合、複数の工程が連続して配置されています。
工程(こうてい)
製造過程における一つ一つの作業段階。
タクトタイム
製品を1つ生産するためにかけられる時間の目安。
この時間内に作業を完了させる必要があります。
サイクルタイム
1つの作業工程で、製品が次の工程に送られるまでの時間。
スループット
ある期間内に生産された製品の総量。
歩留まり(ぶどまり)
投入した材料や部品に対して、良品として完成した製品の割合。
歩留まりが高いほど効率が良いと言えます。
不良品(ふりょうひん)
品質基準を満たさない製品。
加工(かこう)
材料に手を加えて、形や性質を変えること。
切削、溶接、プレスなどが代表的です。
組立(くみたて)
部品を組み合わせて製品を作り上げること。
検査(けんさ)
製品が品質基準を満たしているか確認すること。
目視検査、測定検査などがあります。
仕掛品(しかかりひん)
製造途中の製品のこと。
まだ完成していない状態です。
棚卸(たなおろし)
在庫の数量や状態を確認する作業。
定期的に行われます。
半年に一回行われることが多いですが、業態により頻度は異なります。
ジャストインタイム(JIT)
必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産・供給する生産方式。
トヨタ生産方式の柱の一つです。
ロット
同じ条件で生産された製品のまとまり。
品番(ひんばん)/ 部品番号
製品や部品を識別するための番号。
図面(ずめん)
製品や部品の形、寸法、材料、加工方法などが記された設計図。
正確に読み解くことが重要です。
公差(こうさ)
部品や製品の寸法が許容される範囲。
厳密な品質管理には欠かせません。
トレーサビリティ
製品がいつ、どこで、誰によって作られたか、どの経路で流通したかを追跡できること。
品質問題発生時などに重要になります。
設備・機械に関する用語

設備(せつび)
生産活動に必要な機械や装置、工場全体の施設のこと。
治具(じぐ)
加工や組立作業を正確に行うために、材料や部品を固定したり、加工位置を決めたりする道具。
金型(かながた)
金属などを成形する際に使用する型。
プラスチック製品やプレス加工品でよく使われます
消耗品(しょうもうひん)
使用によって消耗し、定期的な交換が必要な部品。
刃物、研磨剤、潤滑油など。
点検(てんけん)
設備の異常がないか確認すること。
日常点検、定期点検などがあります。
保全(ほぜん)
設備が故障なく稼働するように維持管理すること。
予防保全、事後保全などがあります。
故障(こしょう)
設備が正常に動作しなくなること。
ダウンタイム
設備が停止している時間。
生産ロスに直結するため、極力減らすことが求められます。
安全に関する用語

KY(危険予知)
前述の危険予知活動のこと。
指差呼称(ゆびさしこしょう)
作業の安全確認のため、対象物を指差し、「ヨシ!」などと声に出して確認する行為。
ミス防止に非常に有効です。
コレほんとです。
やるとやらないじゃ大違いです。
保護具(ほごぐ)
作業中に身に着ける安全のための道具。
安全帽、安全靴、保護メガネ、耳栓、手袋など。
必ず着用しましょう。
SOP(エスオーピー) / 標準作業手順書(ひょうじゅんさぎょうてじゅんしょ)
作業を安全かつ確実に進めるための手順を定めた文書。
これに従って作業を行うことが基本です。
緊急停止(きんきゅうていし)ボタン
異常が発生した際に、機械やラインをすぐに止めるためのボタン。
非常停止ボタンとも呼ばれます。
インターロック
危険な状況を回避するために、特定の条件が満たされないと機械が作動しないようにする安全装置。
労災(ろうさい)
労働災害の略。
仕事中に負傷したり病気になったりすること。
その他
改善提案(かいぜんていあん)
業務の効率化や品質向上、安全確保などを目的とした提案。
積極的にアイデアを出しましょう。
会社のよっては、提案報奨金などもあります。
TQC(トータル品質管理)
全社的な品質管理のこと。
ムダ
作業において価値を生み出さない、排除すべき要素。
トヨタ生産方式では「7つのムダ」として、
作りすぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良をつくるムダ
を定義しています。
IE(インダストリアル・エンジニアリング)
生産性向上やコスト削減などを目的とした、生産システム全体を科学的に分析・改善する手法。
まとめ

如何でしょう?たくさんの言葉が出てきましたね。
今回紹介した用語はよく使われる言葉ばかりです。
業界や地域によって特徴的な物もありますが、まずは基本の用語を押さえて、
業務に対する理解も深めると良いでしょう。
さぁ 皆さんも工場で働きましょう!