労働組合の執行委員という大役を引き受けた皆さん、本当にお疲れ様です。
「いきなり役員に選ばれて、何から手をつければいいか分からない…」
「春闘って、結局どうやって給料の交渉をしているの?」と不安に感じていませんか?

ニュースなどで自動車労連が・・・とか耳にしたことありませんか?
「春闘」と聞くと、ハチマキを締めてシュプレヒコールを上げているイメージがあるかもしれません。
しかし、実際の春闘は気合いや根性論だけではなく、もっと緻密でロジカルなものです。

この記事では、工場勤務として四半世紀以上現場の酸いも甘いも経験し、会社の数字や経営状況ともシビアに向き合ってきた視点から、春闘のリアルな裏側を包み隠さずお伝えします。

☆この記事を読んでわかる事

  • 春闘(賃上げ交渉)の本当の目的と3つの柱
  • 準備から妥結まで、約5ヶ月間にわたる具体的なスケジュール
  • 会社と交渉する上で絶対に欠かせない「執行委員としての心構えと注意点」

現場の切実な声をどうやって「会社の経営陣」に届け、納得させるのか。
初めて執行委員になった方が迷わず動けるよう、具体的なロードマップをまとめました。
ぜひ最後まで読んで、組合員のために自信を持って交渉の席に座ってください!

そもそも春闘(春季生活闘争)って何?

一言で言えば、「労働力の卸値(賃金)と、その使い道(労働条件)を、1年に1回まとめて決める交渉」のことです。主に以下の3本柱で交渉を進めます。

  • 賃上げ(ベアと定昇): 基本給の底上げ(ベースアップ)と、年齢や勤続年数に伴う定期昇給の維持。
  • 一時金(ボーナス): 夏・冬のボーナスの月数や支給額。
  • 時短・政策・制度: 残業削減、休暇制度の充実、定年延長、副業解禁など。

【図解】春闘完了までの5ヶ月スケジュール

春闘は一朝一夕には終わりません。
前年の秋から準備は始まっています。全体の日程感(目安:約5ヶ月)を把握しておきましょう。

 フェーズ 時期 具体的な行動(ステップ)
準備期11月〜1月組合員アンケートの実施、他社動向の調査、会社業績の分析
要求策定期1月下旬要求案の作成、職場集会での意見集約、臨時大会での「要求決定」
交渉期2月〜3月中旬会社側への要求書提出。数回にわたる「団体交渉(団交)」の実施
決着期3月中旬集中回答日。会社側からの「回答」を精査し、妥結するか判断
事後期3月下旬〜4月妥結内容の報告、労働協約の締結、新賃金の適用準備

Onobuさん

Onobu体験談
定期大会と春闘の交渉時は、休日返上で実施する事が多かったです。
交渉時も対話は数える程で、基本的には、「要求書」と「回答」の書面やり取りが多かったです。

新人執行委員に伝えたい3つの心構え

交渉の席につく前に、以下の3つを胸に刻んでおいてください。

① 「現場の代表」であるという自覚

あなたが交渉の席で語る言葉は、個人の感想ではありません。
職場で汗を流している現場の「切実な声」です。

② 「対立」ではなく「対話」を恐れない

相手は普段業務では接する事のない、経営陣です。
職場で相手は、上司の立場なので、気持ちが萎縮するかもしれません。
ですが、今は組合の代表として、この場にいます。
利益を上げ、持続させるためのパートナーです。
立場は同じです。臆する事は無いので、堂々としてください。
感情的にならず、客観的なデータと論理、そして最後は「情熱」で会社を説得するタフさが求められます。

③ 情報を漏らさない「守秘義務」の徹底

交渉の過程では、会社の経営に関わる機密情報が出ます。
これが外に漏れると交渉が破綻するだけでなく、会社の信用を傷つけます。
口の硬さは執行委員の最低条件です。

これだけは気をつけろ!交渉の3つのタブー

  • 「持ち帰り」を恥じない:
    予想外の提案にその場で即答せず、「持ち帰り検討します」と言う勇気を持ちましょう。
  • 健康管理は仕事の一部:
    ピーク時は深夜まで議論が続くケースもあります。無理はしても無茶は禁物です。
  • SNSの扱いに注意:
    「今日、会社側が渋い顔をしてた」などの何気ない投稿がトラブルを招きます。
    期間中は見る専門に徹しましょう。

まとめ:春闘は会社と労働者の未来を創る仕事

最初は覚えることばかりで大変かもしれません。
しかし、あなたが交渉で勝ち取った「1,000円のベア」が、何千人もの仲間の生活を支えます。

まずは最初の一歩として、昨年の「春闘要求書」と「回答書」を読み込んでみてください。
過去の数字の推移を追うことで、会社が何を重視しているかが見えてくるはずです。