「一生、このまま作業者でいるのはつらい。でも、やりたいことなんてない。」
工場で働いていて、そんなふうに感じたことはありませんか?

同じ作業を繰り返す毎日。
5年後、10年後も同じ場所に立っている自分を想像すると、気持ちが重くなる。
かといって、辞めて何をするのかと聞かれると、答えが出てこない。

職場の20代の人と話していて、これとよく似た悩みを聞きました。
この悩みはその人だけのものではないと思い、この記事を書くことにしました。

僕は製造業で約28年働いてきました。作業者として現場に立つところから始まり、
リーダー業務、品質改善、予算管理と、仕事の幅を少しずつ広げてきました。

その経験から、僕はこう考えています。
「何をするか」を決める前に、「どんな生き方をしたいか」を考える。
この順番にすると、やりたい仕事が決まっていなくても、考えを前に進めやすくなります。

望む生活や、避けたい働き方から考え始めることはできます。
転職や副業を先に決める必要もありません。

「夢を持とう」「やりたいことを見つけよう」という話ではありません。
この記事では、自分の希望を整理する考え方と、最初に取れる行動を、順番に紹介します。

この記事を読んで分かること

  • やりたいことがなくても、将来について考え始められる理由
  • 自分がどんな生き方を望むのかを整理する3つの問い
  • 今の会社・転職・副収入を目的に応じて比べる考え方と、最初の行動の決め方

工場で一生作業者は嫌。でも、やりたいことがない

工場で働いていると、決まった時間に出勤して、決まった作業を繰り返す毎日になります。

仕事に慣れると、手が覚えて、あまり考えなくてもこなせるようになります。
それ自体は身についた力です。
それでも、ふとした瞬間に「これを何十年も続けるのか」と思うことがあるかもしれません。
そこから、将来への漠然とした不安が膨らむ人もいるのではないでしょうか。

そんなとき、頭の中にこういう言葉が浮かんでいないでしょうか。

  • このまま、一生同じ作業を続けるのは嫌だ
  • 何かを変えたい気持ちはある
  • でも、やりたい仕事も、夢と呼べるものもない

「変えたい」と「やりたいことがない」。
この2つが重なると、人は動けなくなりやすいと思います。

やりたいことがあれば、そこに向かって調べたり、学んだりできます。
やりたいことが分からないと、何を調べればいいのかも決められません。

求人情報を眺めても、どれも自分に合う気がしない。
そのまま日々が過ぎて、気づけば同じ場所にいる。
そんな状態の人は、少なくないのではないでしょうか。

やりたいことがないのは、おかしなことではありません。
意志が弱いからでも、向上心がないからでもないと思います。

職場によっては、仕事の幅を広げる機会が少なく、
自分が何に向いているのかを知る機会そのものが少ないことがあります。
選択肢を知らなければ、「やりたいこと」を思い浮かべるのは難しいものです。

だから、今すぐやりたいことを見つけなくても構いません。
夢や目標を無理に作る必要もありません。

先に整理できることがあります。
それは、やりたい仕事が決まっていなくてもできます。

ここから、その考え方を順番に紹介していきます。

仕事を探す前に、どんな生き方をしたいか考える

「やりたいことがない」と感じていると、「やりたい仕事を探さなければ」と考えがちです。
求人サイトを見る、転職を調べる、副業を調べる。

ただ、探す基準が決まっていない状態では、選ぶことができません。
条件のいい求人や人気の副業が目に入るたびに迷い、
自分に合うのかも分からないまま、時間だけが過ぎてしまいます。

そこで、順番を変えてみてほしいと思います。

仕事を探す前に、どんな生き方をしたいかを考える。

仕事は、生き方を実現するための手段の一つ

仕事は、人生そのものではありません。
どんな生活を送りたいかがまずあって、それを支える収入や時間を得るための手段の一つが仕事だと、僕は考えています。

「何の仕事をするか」から考えると、やりたいことがない人は行き詰まります。
でも「どんな生活を送りたいか」なら、仕事ほど大きな決断ではなく、日々の暮らしの延長で考えられます。

転職や副業を、先に決める必要はない

「一生作業者は嫌」と感じると、転職か副業という答えがすぐ浮かぶかもしれません。
どちらも選択肢の一つです。
ただ、先に決めてしまうと、その手段に自分を合わせることになる場合があります。

転職や副業は、望む生き方を実現するために必要だと分かったときに選ぶものです。
最初から目的にしなくて構いません。

大切にしたい生活や働き方を考える

先に考えるのは、自分が大切にしたい生活や働き方です。
何を重く見るかは人によって違い、正解はありません。

答えがすぐに出なくても大丈夫です。
「こういう生活は嫌だ」「こういう働き方は避けたい」という形でも、考え始められます。

次の見出しでは、そのための3つの問いを紹介します。

自分が望む生き方を整理する3つの問い

生き方を考える、と言われても、何から考えればいいか分かりにくいものです。
そこで、3つの問いに分けます。

答えは、立派なものでなくて構いません。
スマホのメモに、思いつくまま書き出してみてください。1問につき1〜3行で十分です。

問1:どんな生活を送りたいのか

仕事の話は、いったん横に置きます。平日と休日を、どう過ごしたいかを考えます。

  • 平日の夜や休日に、どのくらい自分の時間がほしいか
  • 家族や大切な人と、どのくらい過ごしたいか
  • 毎月、お金にどのくらいの余裕があれば安心できるか

書き方の例
「休みの日に疲れ切って寝ているだけの生活は嫌だ。毎月、急な出費があっても慌てない程度の余裕はほしい。」

問2:仕事に何を求めるのか

次に、仕事に何を求めるかを考えます。たとえば、次のようなものがあります。

  • 自由な時間
  • 安定
  • 収入
  • やりがい
  • 専門性(「これができる」と言える強み)

すべてを同時に求めるのは難しい場合もあります。いちばん重く見たいものを2つほど選んでおくと、あとで手段を比べるときの基準になります。

書き方の例
「安定と収入を重く見たい。やりがいは、あればうれしい程度。」

問3:将来、どんな状態になっていたら満足できそうか

5年後、10年後の自分を想像します。ここでも、仕事名ではなく「状態」で考えます。

  • 何ができるようになっているか
  • お金や時間の面で、どんな状態か
  • 毎日の働き方は、どうなっているか

書き方の例
「会社の都合だけで働き方が決まる状態ではなく、自分で選べる幅がある。」

答えが出ないときは、避けたい状態から考える

3つの問いに答えが出なくても、問題ありません。そんなときは、反対側から考えてみます。

  • こういう生活は避けたい
  • こういう働き方は避けたい
  • 5年後にこうなっていたら嫌だ

「嫌なこと」は、「やりたいこと」より言葉にしやすいことが多いものです。
それをひっくり返すと、望む生き方のヒントになります。
たとえば「休みの日に疲れ切っている生活は避けたい」なら、「体力と時間に余裕がある生活」が望みだと分かります。

まずは3行で書き出してみる

次の3行を、そのまま埋めてみてください。

  • 送りたい生活:
  • 仕事に求めること(上位2つ):
  • 数年後に満足できる状態:

書いた内容は、あとで変わって構いません。今の時点の仮の答えで十分です。
この仮の答えが、次の見出しで必要なスキルや経験を考えるときの土台になります。

望む生き方から、必要なスキルや経験を考える

前の見出しで書き出した3行を、ここで使います。

望む生き方によって、必要なものは変わる

同じ「一生作業者は嫌だ」でも、何を重く見るかによって、必要になるものは変わります。
たとえば、次のような違いがあります。

自由な時間を重く見る人

時間を自分で調整しやすい働き方や職場が、条件になりそうです。

収入を重く見る人

収入を増やせるスキルや、任される役割の幅が、条件になりそうです。

安定を重く見る人

長く使える専門性や、資格が、条件になりそうです。

これはあくまで一例で、正解ではありません。
大事なのは、自分の3行から「何が足りないのか」を見つけることです。

必要なスキルや経験を逆算する

考え方は、次の3つの順番です。

  1. 望む生活や状態を、書き出す(前の見出しで書いた3行)
  2. それを実現するのに必要な、収入・時間・働き方を考える
  3. 今の自分にないものを探す。それが「足りないスキルや経験」

ここで具体的な職種名を出す必要はありません。
「収入の面で足りないものは何か」「時間の面で足りないものは何か」という形で考えれば、十分です。

僕の場合:製造業での経験

僕は製造業で約28年働いてきました。
最初は作業者として現場に立ち、その後、リーダー業務、人材育成や教育計画、品質改善、新しいラインの立ち上げ、製造予算の計画・管理、海外拠点の品質支援と、担当する仕事が広がっていきました。

現場の作業とは別の種類の経験が、少しずつ積み重なっていった形です。
人を育てる、数字でコストを見る、仕事の進め方を仕組みにする。
こうした経験は、作業をこなすだけでは触れる機会が少なかったものでした。

仕事の外でも、FP2級、日商簿記2級、ビジネス実務法務検定2級を取得しています。
お金や法律に関する知識を、仕事とは別の場所で学ぶこともできました。

ただ、僕の経験が、すべての工場勤務者に当てはまるとは限りません。
職場によっては、役割を広げる機会が少ないこともあります。
その場合は、社外で学ぶことや、転職を考える必要も出てきます。

経験を積む場所は、今の職場だけとは限りません。

今の会社・転職・副収入という選択肢を比較する

望む生き方に必要なものが見えてきたら、次はそれをどこで得るかを考えます。
ここでは、今の会社、転職、副収入の3つを比べます。
どれかが正解というわけではなく、目的によって合うものが変わります。

今の会社で経験を積む

会社員として働き続けるなかで、新しい役割や専門性を身につけていく選び方です。
社内異動や職種転換を検討する方法もあります。

得られるものとして、マネジメントの視点や、組織全体を見て仕事を進める経験があります。
現場作業だけでは触れにくい経験を、役割が広がることで積める場合もあります。

僕の場合は、リーダー業務や製造部全体の予算管理を担当するなかで、現場だけでなく部門全体を見て判断する経験を積みました。

一方で、職場によっては、役割を広げる機会が少ないこともあります。
今の職場で経験を積めるかどうかは、その機会があるかどうかで変わります。

転職して、新しいスキルを得る

今の職場では得にくいスキルや経験を、転職によって得る選び方です。
副収入につながるスキルを身につけるために転職する、という考え方もあります。

今の職場に機会がない場合は、環境を変えることで経験の幅が広がる可能性があります。

注意したいのは、転職すれば必ず望むスキルが身につくわけではない点です。
収入や働き方も変わります。何を得たいのかが曖昧なまま動くと、転職後も同じ悩みが残ることがあります。
求人票を見て、得たいスキルが身につく環境かを確認することが、判断材料になります。

副収入につながるスキルを育てる

本業とは別に、収入につながるスキルや仕事を育てていく選び方です。

ここで、僕の考えを書きます。
終身雇用が変化していくなかで、一つの会社の給与だけでは生活を維持しにくい人も出てくるかもしれません。会社員でも副収入を持つことが、今後は今より一般的になる可能性があると感じています。
ただ、これは僕の見方であり、そうなると決まっているわけではありません。
副収入が必須になる、とも言い切れません。

僕自身、個人での活動や副収入につながる働き方を、模索している途中です。
すぐに収入につながるとは限らず、時間も労力もかかります。
小さく試して、自分に合うかを確かめながら進めるのが現実的だと思います。

目的に応じて選ぶ

3つの選択肢は、目的によって合うものが違います。

  • 経験の幅を広げたい:今の会社で役割を広げられるかを、まず確認してみる
  • 今の職場では得られないスキルが必要:転職で、そのスキルが身につく環境があるかを調べる
  • 本業だけに頼らない収入源がほしい:副収入につながるスキルを、小さく試してみる

どれか一つに決める必要はありません。今の会社で働きながら、社外で学ぶという組み合わせもあります。

選ぶ基準は、どれが正しいかではなく、前に書いた3行に近づけるかどうかです。

20代の今、まず一つ行動してみる

ここまでで、考える順番は見えてきたと思います。

  1. どんな生き方をしたいかを考える
  2. それに必要な収入・スキル・経験を整理する
  3. 今の会社・転職・副収入などの選択肢を、目的に応じて比べる

最後に、これを動かすための最初の一歩を決めます。

今すぐ、人生の目標を決める必要はない

書き出した3行は、仮のもので構いません。
決まらなくても、考え始めた時点で、何も考えていなかった状態からは一歩進んでいます。

ただし、今の環境だけで将来を決めつけない

職場の中にいると、他の仕事や働き方を知る機会は少なくなることがあります。
今見えている選択肢がすべてとは限りません。知らないだけで、自分に合う選択肢が別にあるかもしれません。

望む生き方に必要な知識や経験を、少しずつ増やしておく。
それだけで、将来の選べる幅が広がりやすくなります。

最初の行動を一つ決める

いきなり退職や転職を決める必要はありません。
今の仕事を続けながらできる、小さな行動で十分です。たとえば、次のようなものがあります。

  • 社内にどんな部署や職種があるか、上司や先輩に聞いてみる
  • 求人情報を見て、気になる仕事で求められるスキルを3つ書き出す(応募はしなくて構いません)
  • 興味のある分野について、本や無料の動画で30分だけ学んでみる
  • 副収入につながる仕事の仕組みを、調べてみる

選ぶ基準は、前に書いた3行に近づけそうかどうかです。
迷ったら、いちばん気になるものを一つだけ選びます。

行動すると、判断材料が増える

調べたり、試したりすると、「これは合いそうだ」「これは違った」と分かってきます。
合わなかった、という結果も判断材料です。考えているだけでは得られない情報です。

「一生作業者は嫌。でも、やりたいことがない」。
そう感じていても、考える順番を変えれば、進み方は見えてきます。

まずは、今日できることを一つ。3行がまだ書けていなければ、それを書いてみてください。
書けていれば、上の行動から一つだけ選んでみてください。


この記事が、あなたの気持ちのモヤを取り払える助けになってくれたら幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。